書き終えたラブレターが力作に思えても、図書館でコピーするのはやめた方が良い。原本をコピー機に忘れると、図書館から電話がくる。
「ラブレターをお忘れになりましたね」
「はい…」
恥ずかしい。
「取りに来てください。あと、コピーできるのは、館内の資料だけとなっております。今後はおやめください。」
「すみません。」
死ぬほど恥ずかしかった。二度とやらない。
後日取りに行った。
「すみません。あの、手紙をコピー機に置き忘れたものなんですけど」
「あぁ、あの」
あの!?話題になっているらしい。
「少々お待ちください」
控室からもってきた、本文が11枚で追伸が2枚付いている、ぼくのラブレター。
本人のものか確認しないといけないらしい。
手紙には名前が書いてあるから、係のひとが、一生懸命名前を探す。普通は、一番最後に書いてあるから、難なく見つかるものだけど、追伸が2枚もあるから、予想外に見つからない。彼は、一番前から、一枚ずつ、めくって、名前を丁寧に確認していた。
恥ずかしいからやめてくれ。
やっと見つけたらしい。
「いしはらはじめさんですね。」
「はい」
「あの、ご本人と確認できるものの提示お願いします」
仕方なく、学生証を出す。名前も年齢も学年も、学部もわかる。あーあーあー。
「はい、大丈夫です」
「どうも」
ぼくは、すぐに、数メートル先にある出口に向かった。
出口のあたりで後ろから呼び止められた。
「すみませーん。すみませーん」
「はい」
なんなんだよー。
「すみません、忘れてましたが、館内でコピーできるのは、館内の資料だけになってますので…」
とても、とても、はずかしかった。